前立腺がんプラザ/トモセラピー・ダヴィンチ

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what's new 前立腺がんプラザ/トモセラピー

BNCTに関する情報サイト『BNCTプラザ』を公開いたしました。
BNCTとは、がん細胞のみを死滅させる、次世代の治療法です。




○江戸川病院では、BNCTの2016年度中の臨床試験に向けて準備を進めています。

○BNCTは脳腫瘍舌がん喉頭癌咽頭癌皮膚がんなど、体表に近い部位の癌に効果を発揮します。
○放射線治療後に再発した癌も対象。
○浸潤性の癌にも有効。


BNCTの適応は、体表に近い癌です。
ただし、開腹手術と併用することにより、深い部分の腫瘍も治療対象になるかもしれません。


『BNCTプラザ』はこちらをクリックしてください。
<2016年7月6日更新>










 前立腺がんは、日本でも食事など生活様式の欧米化や、高齢化に伴い、近年急速に増加している癌です。
 年をとることによって多くなる癌であり、罹患率は65歳以上で増加します。

 前立腺がんの症状
 前立腺がんの多くは、初期にはほとんど症状がありません。
 進行すると排尿困難、夜間多尿、などの症状が出現しますが、前立腺肥大と似た症状のため発見が遅れることもあります。

 前立腺がんの検査(PSA)
 前立腺がんの早期発見に重要なのは、PSA検査と呼ばれる血液検査です。
 前立腺がんが発生すると、大量のPSA(前立腺特異抗体)が血液中に流れ出ます。
 PSA値が正常の値よりも高ければ、癌が疑われれます。概ね4.0ng/mlを超えると、前立腺がんの可能性が高くなります。


 前立腺がんの治療法
 前立腺がんの主な治療方法は次の4つです。
 ・手術療法(ロボット手術ダヴィンチ等) 
 ・放射線療法(トモセラピー等) 
 ・ホルモン療法 
 ・無治療経過観察


 切らない前立腺がん治療 「トモセラピー」
 トモセラピーとは、強度変調放射線治療を行う専用機として、アメリカで開発されました。現在、前立腺がんの患者数が非常に多いアメリカ、ヨーロッパを中心に、稼動しています。
 トモセラピーは、癌の形に合わせて照射範囲を決められるので、正常細胞に対する照射を極力おさえ、癌の部分だけにピンポイントで放射線を当てることが可能になりました。


 前立腺がんロボット手術「ダビンチ」
 ダヴィンチは、2009年より医療機器として認可を受け、2012年4月より、前立腺癌に対する手術のみ、保険医療として認められました。
 ダヴィンチの特性として、①鉗子の動きが自然、②鉗子の可動領域が大きい、③手ぶれを自動的に補正する、④拡大された立体画像で操作できる、⑤術者が自分でカメラを操作できる、⑥「術者がこびとになって患者さんの体の中へ入り込んで手術をするような感覚」
などがあります。

  



前立腺がんの概要

前立腺がんとは ~前立腺癌の症状~

   前立腺がんとは欧米では男性の罹患(りかん)率第1位の癌ですが、日本でも食事など生活様式の欧米化や高齢化に伴い、男性では最も急速に増えている病気です。前立腺は男性にだけあり、恥骨の裏側で膀胱の下に位置し、その中を尿道が通っています[図1]。形は栗の実に似ており、主な働きは、精液の一部である前立腺液を分泌することです。 前立腺の内部は、尿道に接した移行域、中央の中心域、外側の辺縁域、そして前側にある前方線維筋性間質という4つの区域に分けられます。大きさは、正常大で上下径2~3cm・左右径約4cm・前後径約1.5cm・重さ約15gです。前立腺は、精巣や副腎から出る男性ホルモンの影響を受けています。



①罹患数・罹患率(2005)
42,997人・69.0/人口100,000人

②死亡数・死亡率(2008)
9,989人・16.3/人口100,000人

③影響を及ぼす因子
年齢、人種、家族歴、居住地域など

④前立腺がんの症状
癌の多くは辺縁域から発生します。そのため、初期にはほとんど症状がありません。
進行すると排尿困難、頻尿、残尿感、夜間多尿、尿意切迫、下腹部不快感などの症状が出現しますが、前立 腺肥大と似た症状のため発見が遅れることもまれではありません。さらに進行すると、骨やリンパ節に転移し、痛みや麻痺の原因になる場合もあります。



前立腺がんの検査 
  ~PSA検査、PSA基準値、生検~


①直腸診
   前立腺と直腸は広く接しているため、直腸壁を介して前立腺の後ろ側を触ることができます。前立腺の後ろ側に癌ができた場合、硬いしこりを触知する場合があります。

②PSA検査(血液検査)
   前立腺がんでの早期診断に最も重要なものは、PSA検査と呼ばれる血液検査です。PSA(prostate specific antigenの略語:日本語では前立腺特異抗体)とは、前立腺に特異的なたんぱく質の一種です。PSAは健康な男性の血液中に存在していますが、前立腺がんが発生すると、大量のPSAが血液中に流れ出します。PSA値が正常の値よりも高ければ、がんが疑われることになり、PSA値が高くなるにつれて癌の確率も高くなっていきます。
★ 年齢別PSA基準値
年齢 

50~64歳

65~69歳

70歳以上

基準値 

3.0ng/ml 以下

3.5ng/ml 以下

3.2ng/ml 以下



③超音波
   直腸に検出棒を挿入し、前立腺の超音波画像を得ます。この検査で前立腺サイズの計測、前立腺の内部構造を明らかにすることが出来ます。また生検(後述)の際にも用いられます。超音波は、再現性や客観性は他の画像検査より劣るという弱点があります。

④生検
[図2]
   前立腺がんが疑われる場合、針を刺し組織の 一部を採取し、顕微鏡で癌細胞の有無を診断します [図2]。これにより前立腺がんの確定診断がなされま す。また、一口に前立腺がんといっても、癌細胞の性 質は比較的おとなしいものから、非常に活発なものま で様々です。この悪性度の分類も顕微鏡で前立腺が んの形態をみることによって、判断されます。具体的 にはグリーソンスコアという数値であらわされます。 グリーソンスコアが高いほど悪性度が高く、グリーソ ンスコアが低いほど悪性度が低くおとなしい癌と診断 されます。

⑤前立腺がんと診断された後に行われる検査
[図3]
骨シンチ:全身の骨転移を検索します。
MRI:前立腺周囲の癌の広がりを評価します[図3]。
CT:リンパ節転移や肺転移などを検索します。
PET:全身転移の有無を検索します。







前立腺がんの治療

   前立腺がんの性質、癌の広がり状況、年齢、持病の有無等によって治療法が異なります。前立腺がんに対する標準的治療法は、手術、放射線治療、ホルモン療法、無治療で経過観察する方法の4種類があります。ホルモン剤単独で前立腺がんを完全に治癒させることは不可能と考えられています。前立腺がんを完全に駆逐する標準的治療法は、手術か放射線治療(トモセラピーなど)のいずれかです。治療法が複数選択可能な場合、それぞれの治療法の利点や欠点を理解した上で、納得のいく治療を受けることが大切です。





前立腺がんの転移別治療方針の一例
  (江戸川病院放射線科の場合)


遠隔転移(骨、リンパ節等)がある場合
 局所的治療(手術、放射線療法)よりホルモン療法を優先します。症状緩和のため、局所や転移巣に対して放射線治療を行う場合もあります。骨に数多くの転移が見つかった場合、転移部をピンポイントで照射する放射線薬剤(メタストロン)を投与することもあります。患者様によって病態は千差万別ですので、個々の患者様に最適な治療法をお勧めしたいと思います。


画像診断にて遠隔転移が確認されない場合
1) 画像診断にて前立腺外への局所浸潤がある場合
外照射(トモセラピー)、あるいはホルモン療法、あるいはこの両者を組み合わせます。

2) 画像診断にて局所浸潤が確認されない場合
■PSA≧50の場合 : 
転移のある可能性が高いと考えます。ホルモン療法と外照射(トモセラピー)を考慮します。
■20<PSA≦50の場合 : 
小さな浸潤、転移のある可能性が高いと考えます。外照射(トモセラピー)を中心に、ホルモン療法の併用も考慮します。
■10≦PSA<20あるいはPSA<10、生検陽性率>25%または、GS≧8の場合 : 
外照射(トモセラピー)あるいは手術療法が考えられます。小さな浸潤の可能性があり、再発に対する厳重な監視が必要です。
■PSA<10、生検陽性率<25%、GS≦7 : 
外照射(トモセラピー)、小線源療法、手術療法どれを選択しても結構です。それぞれの治療の利点、欠点をよく踏まえ、患者様ご本人にとって最適の治療を選んでいただきます。
■また、80歳以上の方で、T1-T2a、GS≦6、PSA<10の場合は、無治療で経過観察をお勧めする場合もあります。






トモセラピーのある病院・施設一覧
*江戸川病院調べ
・ 北斗病院(北海道):トモセラピー
・ 十和田市立中央病院(青森県):トモセラピー
・ 北福島医療センター(福島県):トモセラピー
・ 寿泉堂綜合病院(福島県):トモセラピー
・ 水戸協同病院(茨城県):トモセラピー
・ 日高病院(群馬県):トモセラピー
・ クリニックC4(千葉県):トモセラピー
・ 江戸川病院(東京都):トモセラピー
・ 駒込病院(東京都):トモセラピー
・ 湘南鎌倉総合病院(神奈川県):トモセラピー
・ 福井県済生会病院(福井県):トモセラピー
・ 相澤病院(長野県):トモセラピー
・ 木沢記念病院(岐阜県):トモセラピー
・ 名古屋第二赤十字病院(愛知県):トモセラピー
・ 愛知県がんセンター(愛知県):トモセラピー
・ 一宮市立市民病院(愛知県):トモセラピー
・ 鈴鹿中央総合病院(三重県):トモセラピー
・ 宇治武田病院(京都府):トモセラピー
・ 野崎徳洲会病院(大阪府):トモセラピー
・ 古賀病院21(福岡県):トモセラピー
・ 済生会熊本病院(熊本県):トモセラピー
・ 南部徳洲会病院(沖縄県):トモセラピー






切らずにくり抜くピンポイント
放射線治療はトモセラピー
トモセラピーに関するQ&A


Q:トモセラピーとは簡単に言うとどんなもの?
A:トモセラピー(tomotherapy/ともせらぴー)とは最新鋭の放射線治療であるlMRT(強度変調放射線治療)を行うために開発された、CTのような形をした高精度放射線治療装置です。
  CTと同様、体を輸切りにした画像を撮影できる一方、強い放射線を発射することもできるため、CTの撮影をした直後にがんを狙い打つピンポイント放射線治療を行うことができます。
  画像診断と放射線治療がトモ(Tomo) に行える治療(Therapy)装置がトモセラピー(tomotherapy)といったところでしょう。

Q:今までの放射線治療とトモセラピー、その違いは?
A:今までの放射線治療は、周りの正常な細胞にもたっぷり放射線が当たってしまうため、副作用が問題になっいました。
  しかしトモセラピーは、がんの形に合わせて照射範囲を決められるので、正常細胞に対する照射を極力おさえ、がんの部分だけにビンポイントでたくさんの放射線を当てることが可能になりました。したがってトモセラピー治療は副作用を減らし、がんを退治する効果は高くなったといえます。

Q:トモセラピーで、どんながんでも治療できますか?
A:トモセラピーの場合、正常組織への負担が少ないので、全身どこのがんでも照射が可能です。しかしトモセラピーは前立腺がんに特に咸力を発揮し、手術と同等の治癒率が得られます。

Q:トモセラピーの治療にかかる費用はどれくらいですか?医療保険は適応されますか?
A:治療には医療保険が適応されています。トモセラピーの費用は従来の放射線治療と同等です。
  がんの種類によって保険適用の内容や自己負担額などが変わってきます。
*医療施設によっては保険対象外の場合もあります。事前にトモセラピーによる治療を行っている医療施設にご確認ください。

Q:トモセラピーによる治療を受ける場合、入院は必要ですか?
A:高精度な放射線治療により副作用が従来よりも減ったため、ほとんどの方は外来で行うことができます。
  仕事やゴルフなどの趣味も、トモセラピー治療中であっても続けられる場合がほとんどです。

Q:毎日通えないので、入院させてもらえますか?
A:入院の必要性については、医師の判断が必要になります。
  通院に自信の無い方、通院そのものが不可能な方は、トモセラピーによる治療を行っている医療機関へお問い合わせください。

→最新の放射線治療器トモセラピーのご紹介はこちら





前立腺がんロボット手術
ダヴィンチ


ダヴィンチとはアメリカで開発された手術を支援するロボットです。

ダヴィンチの費用・保険適応
 ダヴィンチは、日本では2009年より医療機器として認可を受けました。2012年4月より、前立腺癌に対する手術のみ、保険医療として認められました。

ダヴィンチのメリット
 ダヴィンチが普及した理由は、安全性だけではありません。
 ダヴィンチによる前立腺癌ロボット手術は出血量を極端に抑え、手術後の疼痛を軽減し、機能温存の向上や合併症リスクを大幅に回避できるなど、さまざまなメリットが評価されているからです。

→最新の前立腺がんロボット手術ダヴィンチのご紹介はこちら





~ 私はトモセラピーしました。 ~
トモセラピーに関するアンケート

江戸川病院でトモセラピーによる前立腺がんの放射線治療を受けた柴田様の感想

Q1:初めてがんだと知ったとき、どのような気持ちでしたか?
A:2002年、腎盂がんと告知されたときはちょっとショックでしたが、前立腺がんのときは気分的に動揺はありませんでした。

Q2:治療選択のとき、迷いはありましたか?トモセラピーの治療以外で、どのような治療法を選択枝に入れたか教えてください。
A:全摘手術は当初より考えておらず、ホルモン療法を希望し、次の段階で放射線治療を選択しました。

Q3:トモセラピーでの治療を決めた理由は何ですか?
A:トモセラピー治療という新しい放射線治療法を聞き、江戸川病院を訪れ、中川恵一医師からの診断と説明に信頼して治療を受ける決心をしました。

Q4:トモセラピーによる治療中の感想をお聞かせ下さい。
A:苦痛もなく、現在のところさしたる副作用もなくトモセラピー治療を続けました。

Q5:トモセラピーによる治療を終えていかがでしたか?
A:トモセラピー治療を選択した自分自身の判断に過ちはなかったと確信しています。

Q6:トモセラピー治療の後輩たちに一言
A:この病気で全摘手術を受けた体験談から生活にかなり支障があると聞いております。個人差もあるでしょうが、私はトモセラピー治療をおすすめしたいと思っています。

→トモセラピーによる前立腺がん治療を受けた方のアンケート結果はこちら



『TOMOの会』
江戸川病院で、トモセラピーによる放射線治療を行った方、行っている方を対象にした前立腺がんの患者会

『第1回TOMOの会』
2011年2月17日 第1回 『TOMOの会』が開催され、200人の人たちが参加しました。
■マスメディアの紹介 『毎日新聞 2011年2月8日号夕刊』 『毎日新聞 2011年2月20日号』
『TOMOの会(第1回交流会)』
2011年7月12日 『TOMOの会(交流会)』が江戸川病院で開催されました。 約60名の方が参加。少人数のグループに分かれ、トモセラピーによる前立腺がん治療などについて意見を交換しあいました。
■マスメディアの紹介 『東京新聞 2011年7月13日』
『第2回TOMOの会』
2011年10月7日、『第2回 TOMOの会』が開催されました。 230名の方が参加。放射線治療の知識についての講演も行われました。
『第3回TOMOの会』
2012年6月20日、『第3回 TOMOの会』が開催されました。
トモセラピーによる放射線治療の体験者が、自身の治療経験について発表しました。
『TOMOの会(第2回交流会)』
2012年11月28日、『第2回交流会』が開催されました。
交流会には約70名の方が参加し、5-6名ごとのグループにかれ、放射線治療の体験について意見交換をしました。
医療情報セミナー①
2013年5月20日、医療情報セミナー『急増する前立腺がんとトモセラピー』が開催されました。
中川恵一先生の講演とともに、TOMOの会の幹事の方が、自身の前立腺癌トモセラピー治療体験について語りました。

→トモセラピーによる前立腺がん治療を受けた方の患者会『TOMOの会』はこちら


江戸川病院放射線治療室で臨床実習を行った医学生からの手紙

江戸川病院放射線治療室で臨床実習を行った医学生からの手紙です。

江戸川病院 放射線科部長 浜 幸寛先生

江戸川病院での臨床実習を終えて(平成24年7月30日~8月2日)

 この度は、ご多忙のところ江戸川病院での実習をさせていただき、誠にありがとうございました。外来実習や治療室の見学、治療計画実習など、様々な実習を経験させていただき、期間中に学ぶことができたことは数知れません。私自身の将来にとって大変有益な経験ができました。そこで、感謝の意を込めてここに感想文を記したいと思います。

 まず、実習をお願いすることになった経緯ですが、今年1月に防衛医大放射線科の入局説明会があり、A先生から江戸川病院で先進的な放射線治療をされているOBの浜先生という先生がいらっしゃるとお聞きしていました。そして2月に偶然、がん患者の就労問題について特集したNHKの特報首都圏という番組を見た際に江戸川病院が紹介されており、病院のことを知りました。そこでは夜10時まで外来治療を行っているとのことで、仕事をしながら治療を継続できる体制に感銘を受けました。その頃から漠然と江戸川病院で実習できたらと思っていたのですが、6月にA先生に夏休みに是非外の病院で放射線治療について実習したいと相談させていただいたところ江戸川病院の浜先生のところではどうかと勧めていただき、兼ねてからの思いもあり江戸川病院での実習をお願いする運びとなりました。

 江戸川病院での実習をさせていただく前に私が抱いていた放射線治療に対するイメージは、「切らずに治す」という理念に魅力を感じながらも、舌癌など中には放射線治療が有効で、完治しうる疾患や術後照射が有効である疾患もありますが数が限られており、多くは癌の末期に化学療法と併用で用いられ、癌と上手に付き合いながら生きていくための手段なのだろう、ということでした。しかし、江戸川病院での実習を通じてそのような認識は大きく変わりました。

 まず、トモセラピーは、治療計画時に線量分布を腫瘍やリスク臓器の輪郭を正確に描き出し、CTV、PTV、リスク臓器の照射線量を調節して、腫瘍には致死量を、正常組織は耐容線量よりも大幅に低い線量を当てることが可能であるため、合併症をほとんど伴わないながらも高い根治性を期待できる放射線治療法であるということを知り、その技術に驚きました。さらに、その画期的ツールを安全運用するためのシステムも構築されており、独自に作成された厳密な治療プロトコルに基づき治療計画を立て、あらゆる計画の中から最良な線量分布をコンピュータで算出後、再考を重ねて承認し、さらに実際の治療と計画との誤差をフィードバックする体制も確立されていました。そこには放射線照射は患者個々の状態に応じたテーラーメイド商品である、との先生の理念が根底にあります。また、治療計画が計画通り遂行するためには医学物理士との連携、放射線治療技師や診療放射線技師の正確な位置決め作業が重要であり、その作業は正に職人技でした。

 そのような、殺腫瘍効果を十分にもたらし、正常組織の障害は大幅に低減できることの大きな利点は、外来診察を見学した際に最も実感することができました。

外来実習では様々なStage、治療経過にある患者さんの診察を見学し、患者さん一人一人がどのような経緯で来院し、治療を受け、どのような経過を辿っていくのかを追うことができました。他院からこれ以上の治療を施しようがないと判断されて紹介された、あるいはご自分でインターネットを通じて江戸川病院を調べた患者さんが藁をもすがる思いで来院されます。「もうここが最後かもしれない。」と思って来院される患者さんに対し、「うちで治療できますよ。」の一言は救いの一言として、聞いている私としても深く感動しました。この言葉は限られた人間しかいう事ができない重い言葉であり、将来自分もこのような言葉を言えるような医師になりたいと思いました。

 照射が終了し、経過観察期間にある患者さんの診察ではトモセラピーの適応を厳しく選定しているという点も多少なりとも影響していることとは思いますが、ほとんどの患者さんが大きな合併症もなく、あったとしても塗布薬や服薬で解決可能な範囲内であり、また、照射後再発もほとんどないことが実感できました。照射後の長期的な予後に関してはこれからの経過観察で明らかになるとは思いますが、トモセラピーは、ダメもとで照射しても病変が消失してしまう癌もあり、根治性が高いだけでなく、機能温存に優れた治療法であることが分かりました。一言に放射線治療と言っても、このような根治的治療法がある事を知り、これからの放射線治療に期待するとともに、将来自身も携わりたいと思いました。

 また、放射線治療に携わる先生のお仕事を拝見して受けた印象は、がんに対する外科的治療、化学療法を含めた全身のがん診療の知識や疼痛管理やターミナルケアに関する深い知識が必要であるという事です。上のような根治的照射に限らず、放射線治療はがん対策基本法の3大療法の一つとして挙げられており、そのため、他の治療と連携しながら行うことが多く、そうした知識は必須であると思いました。そのような知識が必要であることは最もですが、がん治療一般に関する知識に限らず、さらに高い臨床能力も必要だと感じました。放射線外来では、決して放射線の合併症のみの経過を診ていれば済む話ではなく、ある症状が出現した場合、それが放射線照射による影響なのかcommon diseaseによるものなのかを判断しなければなりません。たとえ症状を訴える部位が照射部位とは関係なくとも、「放射線治療を受けているから」という理由だけで放射線外来で診てもらうよう患者に指示する先生方もいます。さらに、放射線治療を受ける前の主治医による診療が終了してしまい、放射線外来で経過を診なければならない患者さんもおり、がんとは直接因果関係のない病状を訴えた場合には放射線外来が初期診療となるためプライマリケアとしての側面も持ちえます。したがって、卒業後は初期研修のうちから将来を見据え、科ごとに臨床のエッセンスを身に着けていけるような研修を目指そうと考えました。

 今回の実習では、江戸川病院でのトモセラピーによる治療が「切らずに治す」ことを可能にする画期的な治療法であり、多くの患者さんを合併症がほとんどない状態で救っている現場を自分の目で見ることができました。今まで経験してきた実習の中でこれほどまでにローリスク、ハイリターンであり、多くの患者さんに感謝される現場を見学することがほとんどなかったため、とても良い刺激になりました。さらに、浜先生から様々なお話をお聞きして、漠然と放射線科医、放射線治療医になろうと思っていたことが、具体性を帯びた目標に変わりました。そのような点で今回の実習は大変自分の人生に有益な実習であったと思います。このような機会を与えてくださった浜先生や江戸川病院関係者の皆様方、A先生には深く御礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

 また今後も卒業後の進路や実習に関して先生にご相談させていただくことがあるかもしれませんが、その際は是非ともよろしくお願いいたします。


平成24年 8月3日(金)

防衛医科大学校 医学科 6年
匿名



* 掲載にあたり、執筆者の氏名等一部記事を修正しています。


お勧めの書籍 前立腺がんプラザ/トモセラピー

『がんで死ぬのはもったいない』 中川恵一著 幻冬舎
内容説明
早期発見で9割完治する、コーヒーで肝臓がんを予防、がんは絶対放置するな。知っていれば怖くない、必ず役に立つがんの教室。医者と病院を味方にする69の心得。

目次
第1章 がんを知る(日本は「世界一のがん大国」 がんは、からだのなかのモンスター ほか)
第2章 がんを予防する(胃がん退治の最終兵器は冷蔵庫?!。生活習慣で、がんの種類が決まる ほか)
第3章 がんとつきあう(自覚症状があったら、すぐに病院へ。検診から治療開始までの流れ ほか)
第4章 がんを治す(胃がんは手術で治す。スキルス胃がんは進行が速い ほか)。
第5章 がんに立ち向かう(がんから逃げない がんを軽視しない ほか)

『放射線医が語る被ばくと発がんの真実』 中川恵一著 KKベストセラーズ
福島第一原発事故から10カ月が経とうとしています。 2011年12月、政府は冷温停止状態に入ったとの発表を行いましたが、地元の住民の方々の帰宅問題やホットスポット、食べ物の汚染など問題は山積しており、私たちの不安はまだまだ解消されていません。
「内部被ばくは、外部被ばくの600倍危険だ」 「福島の野菜を食べてはいけない」 「西へ逃げろ」……。
原発事故以来、さまざまな「専門家」たちの意見が飛び交い、かえって不安と混乱は増すばかりです。今最も必要とされるのは、正確な情報ではないでしょうか。
著者は、長年にわたって放射線医としてがん患者の治療に携わってきました。被ばくと発がんリスクの問題について語るに最も相応しい人物といえます。さらに事故後、福島で行った調査や、広島・長崎、そしてチェルノブイリ原発事故のデータ分析も踏まえて導いた結論は、大きな説得力をもちます。

『がんのひみつ ~ がんも、そんなに、わるくない~』 中川恵一著 朝日出版社 
日本人の2人に1人が、がんになる時代が来ます。まさに国民病。 では、私たちには、その心構えができているでしょうか。 医療や政治は、十分な体制を用意しているでしょうか。 そして、日本人の「がん」と「がん治療」がどんどん変化しているのに、 私たちはきちんと知識をもっているでしょうか……。 たくさんの「ひみつ」を通して、がんと、さらにその底に横たわる「日本人の死生観」をくっきり描き出す、 わかりやすく、最新の知識をコンパクトにまとめた、まったく新しい教科書。 いま、「がんを知る」ことが、「日本を知る」ことにつながります。

『放射線のひみつ ~正しく理解し、この時代を生き延びるための30の解説』 中川恵一著 朝日出版社
この本では、放射線とはいったい何ものか、放射線と放射能の違い、被ばくには「外部被ばく」と「内部被ばく」があること、全身被ばくと局所被ばくの区別、どのくらいの放射線をあびると体に悪影響があるのか、チェルノブイリやスリーマイル島の原発事故で住民に何が起こったのか、発がんリスクが上昇するとはどういうことなのか、そもそもがんとは何か、「ただちに健康に影響のあるレベルではない」とは何を指すか、こうしたことをわかりやすく解説するつもりです。

『ドクター中川の”がんを知る”』 中川恵一著 毎日新聞社
毎日新聞の大好評連載コラム「Dr.中川のがんを知る」待望の単行本化
日本人のおよそ2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡しています。世界一の長寿国は、世界一のがん大国でもあります。ところが、この国民病とも言える”がん”に対する知識や教育は、他の先進国と比べて遅れています。誤解や”ウソ”もまかり通っています。がん医療の最新情報や問題点を図やイラストを用いて分かりやすく解説しました。”ホント”を知るための一冊です。

『切らずに治すがん治療』 中川恵一著 法研
「できるだけ早く手術をしましょう」とすすまられたら・・・
「頭を整理したいので、少し時間をください」と告げ、一度家に帰ってほしいのです。
がん治療に関して、日本は世界でも類のない「手術大国」です。 がん=手術という思い込みが患者さんにも医療者にも強く、がんを宣告された ら、できるだけ早く切るのが普通と考えられています。けれども、実際には、が んはなるべく切らずに治すのが、今日、世界のがん治療の主流です。そして、手 術に代わる方法として評価が高まっているのが、放射線治療です。技術革新が進 み、がん細胞だけをピンポイントで狙い撃ちできるようになった結果、正常な細 胞にダメージを与えることなく、したがって副作用もごく少なく、がんを完治さ せられる可能性が高くなりました。完治しない場合でも、抗がん剤などと併用す ることで、手術より高い生存率を上げられるがんが増えています。 最近の手術は規模が縮小されているとはいえ、手術は体へのダメージの大きな治 療です。しかも、手術でがんが治ると言い切れないのが、がんという病気で す。2人に1人ががんで死ぬ時代を迎えて、手術と同じ、あるいは、がんによっ ては手術より高い生存率を上げている放射線治療について、ぜひ多くの皆さん に知っていただきたいと思います。

『ビジュアル版 がんの教科書』 中川恵一著 三省堂
12種の代表的ながんの検査、診断、治療さらに痛みの治療、緩和ケアまで含めわかりやすく解説した「見て」「読んで」分かるビジュアルムック版「がんの教科書」。
さらに、最新の手術・放射線治療・抗がん剤治療そしてセカンドオピニオン・抗がんサプリメントについて知っておくべき知識を別枠で解説。全国の緩和ケア病棟・緩和ケアチーム一覧尽き。
国民の3人に1人ががんで死亡する時代。がんに不安のある人、がんと診断された人、その家族が、がんの予防から、最新の検査・治療を正しく知るための入門書!知らないことから生ずる不安に惑わされず、最良のがん治療を受けるための、最新の「がんの教科書」!

『がん!放射線治療のススメ』 中川恵一著 三省堂
現在推定300万人が〈がん〉を病み、その約半数近くが放射線治療を受けている。放射線治療の効果や副作用、対策などを中心に、最新の情報を紹介したがんの放射線治療(ガンマナイフ、IMRT、PET、粒子線治療、化学放射線治療など)の全ガイド。QOLを保つ放射線治療を受け、満足な生活を続けている体験者の手記を収録。

『病院と患者のための放射線治療』 中川恵一監修 発行元:株式会社エム・イー振興協会 発売元:産業科学株式会社
今、社会から望まれている放射線治療を始めたい病院が知っておくべきこととは - 患者視点も含めて解く 

『専門医が教える   がんで死なない生き方』 中川恵一著 光文社新書
がんはもはや他人事ではない国民病。東大病院の中川先生が、“がんは遺伝”“がん家系”といった誤解を解き、がんの予防法から治療、治療費の問題まで徹底解説。一方、専門医自身はどんな生活を送っているのか、がんの予防のために何か特別なことをしているのか、一般の私たちが気になる疑問に中川先生が答え、また同僚の医師たちにもインタビュー。コラムでは、原発事故以降の放射線に対処するための知識をQ&A式で掲載。がんが増え続ける時代に“使える”一冊。  

『がんの練習帳』 中川恵一著 新潮新書
「がんはとにかく怖い」そう思っているなら大間違い。今やがんは日本人の2人に1人は経験する病気。怖いのは、がんではなく、がんを知らないことなのです。がんの予防策から告知の際の心構え、検診や治療法選択のコツ、痛みとの付き合い方、治療費、最期の迎え方まで、すべて「練習」しておけば憂いなし。読み物仕立ての闘病記で様々なケースを追体験するうちに、誰もが平常心でがんと付き合えるようになるはずです。

『医療最前線の名医16人』 現代書林 特別取材班編著
~ 前立腺がんは放射線治療で根治が望める。トモセラピーという最新放射線治療機器を用い高い治療効果を得つつ、副作用が少ない前立腺がん治療がある ~
江戸川病院(東京江戸川がんセンター・トモセラピー)の浜先生が前立腺がん治療の名医として紹介されています。

『がんサポート 2011年4月号 ~副作用・緩和ケア特集~』 エビデンス社
トモセラピーが優れている点は、CTの撮影をした直後にピンポイントで放射線治療を行うことである。CT検査と放射線治療を別の機会で行う場合、放射線治療器と検査機器の焦点がピタリと一致していなければ、それだけで照射位置がズレてしまう。その点、トモセラピーでは、放射線治療機器で、検査も一緒にできる。
*出版社ホームページによると当該号は完売しています。

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