前立腺がんプラザ/トモセラピー

  

トモセラピー体験者へのアンケート(数十名分)、トモセラピーとは、トモセラピーの費用、効果。最新の前立腺癌治療を図解で解説。

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12月2015

高リスク前立腺癌に対する根治的前立腺全摘後の術後照射: 無作為割付比較試験(EORTC trial 22911)の長期成績

この結果から考えられるのは、手術で癌細胞を完全に取り切るのは難しいという事実。高リスク前立腺癌では放射線治療を第一選択と考えるのが妥当だと思われます。

高リスク前立腺癌に対する根治的前立腺全摘後の術後照射
無作為割付比較試験(EORTC trial 22911)の長期成績
Postoperative radiotherapy after radical prostatectomy for high-risk prostate cancer: long-term results of a randomized controlled trial (EORTC trial 22911)

Bolla M, van Poppel H, Tombal B, et al.

Lancet. 2012, Epub

背景
既報の無増悪生存の改善が維持されているかを確認する。

方法
断端陽性あるいはpT3を術後照射群(腫瘍床へ60Gy/6週)と経過観察群に割り付け生化学的無増悪生存を検討した。

結果
術後照射群502例,経過観察群503例,中央観察期間10.6年であった。術後照射は有意に生化学的無増悪生存を改善した(再発・死亡は術後照射群39.4%,経過観察群61.8%)。全晩期有害事象は術後照射群で有意に多かった(70.8% vs 59.7%)。

結論
術後照射が生化学的無増悪生存と局所制御を有意に改善した。一方で臨床的無増悪生存の改善はなかった。

コメント
既報(Lancet 2005; 366: 572-78)では良好とされた臨床的無増悪生存は、その後の遠隔転移・非癌死により有意差がなくなった。前立腺癌の治療効果判定の難しさを感じる。ただし、同様の臨床試験(SWOG; J Urol 2009; 181: 956-62,ARO; J Clin Oncol 2009; 27: 2924-30)の結果を含めて「術後照射は生化学的無増悪生存を改善する」とは言えそうである(SWOGのみ全生存も改善)。
(埼玉医科大学国際医療センター 阿部孝憲/江原 威)

前立腺がん治療時の体位

cancer_tiryou_edo_zu1当院では、CTによる位置確認が可能であることを踏まえ、患者さんの足を軽く固定し、両手でリングをもってもらい、背臥位で治療を行っています。うつ伏せや強制的な固定は避け、体の制限が少なく、楽な体位で行っています。動きによるずれは、他の方法と比べても遜色なく、安心して治療を受けて頂くことが出来ます。

背臥位と腹臥位での前立腺のintrafractionの動きに関する前向き研究
prospective study of intrafraction prostate motion in the prone vs. supine position Wilder RB, Chittenden L, Mesa AV, et al.
A prospective study of intrafraction prostate motion in the prone vs. supine position Wilder RB, Chittenden L, Mesa AV, et al.
Int J Radiat Oncol Biol Phys 77(1): 165-70, 2010.

はじめに
 オンラインでの画像誘導下放射線治療が行われるようになり、interfractionの標的のずれを正確に把握できPTVマージンを小さくした治療が可能となってきた。その一方で、ターゲットのintrafractionの動きを把握することがより重要となっている。
方法
15例の前立腺癌の患者を対象とし、高線量率の組織内照射(22Gy/4回)後IMRT(50.4Gy/28回)を施行した。
背臥位および腹臥位で固定具を作成し、バリアン社製On-Board Imagerで前立腺に刺入されたシードの位置を正面側面の撮影で、IMRT開始の最初の5日間連続して前立腺の位置を測定した。実際のIMRTの照射を腹臥位で行い、治療開始前と後に前立腺の位置を測定し、照射後すぐに、背臥位にして直後と11分後の二回測定した。

結果

 intrafractionの前立腺の動き(平均±標準偏差)は、腹臥位および背臥位で、前後方向2.1±1.2mm、1.7mm±1.4mm(p=0.47)、頭尾方向2.2mm±2.0mm、1.6mm±1.8mm(p=0.16)、左右方向1.0mm±1.2mm、0.6±0.9mm(p=0.03)であった。
腹臥位では前方方向へ、背臥位では背側方向へ前立腺がずれる傾向にあった。患者の多く(80%)がアンケート調査で腹臥位より背臥位の方が楽な姿勢であると答えていた。

結論
腹臥位でも背臥位でも頭尾方向、前後方向に平均で約2mmの前立腺のintrafractionの動きがあるが、両者に差は見られなかった。

コメント
個人的にはこの領域の論文は苦手分野ですが、自分の臨床を三次元照射からIMRTやIGRTへと進めて行くには避けては通れないと思い少しずつチャレンジしています。intrafractionの前立腺の動きを治療前と後の二回測定するだけでよいのか気になりましたが、考察でもそのことが取り上げられており、呼吸性移動やリアルタイムでの動きを追跡した報告(Calypsoを用いた報告)などを考えるともう少し大きなintrafractionの動きが実際にはあるように思われます。
あと一つ、「なるほど」と思えたことは、いくつかのIMRTの報告で患者一人あたりに要する照射時間が短い照射方法が重視されているようですが、より多くの患者を治療するという経済的なことが主な要因と思っていましたが、照射時間を短くすることでintrafractionの動きを少なくすることができる可能性があるとのことでした。すでにご存じの方が多いのでしょうが、お恥ずかしながらはじめて知りました。
(信州大学医学部 鹿間 直人)

リスク別の前立腺がん治療の一考 低リスク

NCCN(National Comprehensive Cancer Network)の2014年のガイドラインでは、臨床的限局性:低リスクを

 T1~T2a
 グリソンスコア≦6
 PSA<10ng/mL

と定義しており、臨床的に治療の適応がある場合、超低リスク群と同様に
外部放射線治療または密封小線源治療
根治的前立腺摘除術(RP)±骨盤リンパ節郭清術(PLND)(リンパ節転移の予想確率が 2%以上の場合)
としています。
選択肢として、手術か放射線のどちらを選ぶかを決めなくてはなりません。手術で骨盤リンパ節郭清術(PLND)も行うとなると、熟考が必要になります。

骨盤リンパ節郭清術の場合、拡大 PLND では、縮小 PLND の場合の約 2 倍の頻度で転移巣が発見されるため、拡大 PLND の方が病期分類がより完全なものとなるほか、顕微鏡的転移が存在する患者の一部では治癒が得られる可能性もあり、したがって、PLND を施行する場合は拡大郭清が望ましいとされています。
拡大 PLND では、前方を外腸骨静脈、側方を骨盤側壁、内側を膀胱壁、後方を骨盤底、遠位側をクーパー靱帯、近位側を内腸骨動脈に囲まれた領域内にあるすべてのリンパ節を周囲の組織を含めて郭清する必要があるため術後のダメージを覚悟しなければなりません。
放射線を用いた治療なら強度変調放射線治療(IMRT)または放射線治療(EBRT)+密封小線源治療のどちらかになると思います。強度変調放射線治療(IMRT)単独の場合、線量は76Gyは必要になるので(2Gy×38回)約3ヶ月、週5回、治療を続けなくてはなりません。強度変調放射線治療(IMRT)での治療では、急性の膀胱炎程度は覚悟しなければなりませんが、重篤な副作用(尿漏れや勃起不全など)は極めて稀になっています。放射線治療(EBRT)+密封小線源治療の場合、線源埋め込み手術に3日間程度の入院と、放射線治療(EBRT)線量は40-50Gy(2Gy×20-25回)必要になるので2ヶ月弱、週5回、治療を続けなくてはなりません。術後の痛みや、急性の膀胱炎程度は覚悟しなければなりません。
全ての治療法の治療成績は同等です。
根治的前立腺摘除術(RP)を考えるなら、ダビンチを用いた手術を選択すべきです。機能回復などの予後に大きな差が出ています。
根治的前立腺摘除術(RP)での出血はかなりの量となりますが、陰茎背静脈(dorsal vein complex)と前立腺周囲の血管を注意深くコントロールすることで減少させることが可能です。
尿失禁については、前立腺尖部より遠位の尿道を長く温存するとともに遠位括約筋機構への損傷を回避することによって減少させることが可能です。
膀胱頸部の温存によっても失禁リスクが減少する可能性があり、吻合部狭窄は長期にわたる失禁のリスクを高めます。
勃起機能の回復には、RP 施行時の年齢、術前の勃起機能および陰茎海綿体神経の温存の程度が直接関係します。切除された神経を神経移植片で置換する試みについては、有益性は示されていません。勃起機能の回復を狙った早期の治療介入は、その後の回復の改善につながる可能性があります。
tochigi

水素水の効用

放射線の副作用軽減薬アミフォスチンと水素の効果を比較した論文です。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22367121 H2
Biochemical Journalという歴史も古く権威のある学術誌に論文が掲載されました。
放射線の害は、放射線が水と反応して、活性酸素が生じことも一因です。抗酸化物質で放射線の害を低減することができるはずですが、どの抗酸化物質でも効果がでるというわけではありません。たったひとつだけ、放射線の副作用を軽減する抗酸化剤が米国では薬として承認されています。アミフォスチンという薬です。この薬は放射線の副作用を取り除いてくれるのですが、残念ながらアミフォスチンによる副作用が強いので、口内炎がひどいときにだけに限定されて使用されています。そこで、放射線の副作用を軽減し、副作用が少ない放射線防護薬が待ち望まれていますが、水素(H2)に可能性があることが示されました。
この論文では、細胞レベルで水素がアミフォスチンと遜色ない効果を示したようです。アミフォスチンと遜色ない効果があるということは、水素にも放射線防護の効果がある可能性はあります。人体レベルでどの程度効果があるのかはハッキリしていませんが、水素自体には副作用がないので試してみる価値はありそうです。
実際、私も水素水を飲んでみましたが通常の水と変わりませんでした。水を入れたペットボトルに専用キッドを取り付け5秒程注入して出来上がりです。
当院治療室でも取り扱っていますので、ご興味のある方は試してみて下さい。

リスク別の前立腺がん治療の一考 中リスク 

NCCN(National Comprehensive Cancer Network)の2014年のガイドラインでは、臨床的限局性:中リスクを

 T2b~T2c
 グリソンスコア6
または
 PSA10〜20ng/mL

と定義しており、患者期待余命が 10 年未満の患者に対する選択肢としては、1)経過観察、2)放射線治療(RT)±アンドロゲン遮断療法(ADT、4〜6ヶ月)±密封小線源治療、3)密封小線源治療単独が挙げられます。
期待余命が 10 年以上の患者に対する初回治療の選択肢としては、1)根治的前立腺摘除術(RP)+骨盤リンパ節郭清術(PLND)リンパ節転移の確率が 2%以上と予測される場合のみ、2)放射線治療(RT)±アンドロゲン遮断療法(ADT、4〜6ヶ月)±密封小線源治療、3)予後良好因子(cT1c、グリソンスコア7、体積が小さい)を有する患者に対する密封小線源単独が挙げられます。
期待余命が10年を超える患者には、active surveillanceは推奨されていません。

中リスクでのアンドロゲン遮断療法(ADT)と根治的前立腺摘除術(RP)または放射線療法(RT)の併用は必須になります。アンドロゲン遮断療法(ADT)とは、
ホルモン療法の事で前立腺がんの多くは男性ホルモンの影響を受けて増殖するため、男性ホルモンの生産を抑えるアンドロゲン遮断療法(ADT)を治療後4〜6ヶ月行う事で再発の確率を有意に下げることができます。
ここでも、選択肢として、手術か放射線のどちらを選ぶかを決めなくてはなりません。手術で骨盤リンパ節郭清術(PLND)も行うとなると、熟考が必要になります。

骨盤リンパ節郭清術の場合、拡大 PLND では、縮小 PLND の場合の約 2 倍の頻度で転移巣が発見されるため、拡大 PLND の方が病期分類がより完全なものとなるほか、顕微鏡的転移が存在する患者の一部では治癒が得られる可能性もあり、したがって、PLND を施行する場合は拡大郭清が望ましいとされています。
拡大 PLND では、前方を外腸骨静脈、側方を骨盤側壁、内側を膀胱壁、後方を骨盤底、遠位側をクーパー靱帯、近位側を内腸骨動脈に囲まれた領域内にあるすべてのリンパ節を周囲の組織を含めて郭清する必要があるため術後のダメージを覚悟しなければなりません。
放射線を用いた治療なら強度変調放射線治療(IMRT)または放射線治療(EBRT)+密封小線源治療のどちらかになると思います。強度変調放射線治療(IMRT)単独の場合、線量は76Gyは必要になるので(2Gy×38回)約3ヶ月、週5回、治療を続けなくてはなりません。強度変調放射線治療(IMRT)での治療では、急性の膀胱炎程度は覚悟しなければなりませんが、重篤な副作用(尿漏れや勃起不全など)は極めて稀になっています。放射線治療(EBRT)+密封小線源治療の場合、線源埋め込み手術に3日間程度の入院と、放射線治療(EBRT)線量は40-50Gy(2Gy×20-25回)必要になるので2ヶ月弱、週5回、治療を続けなくてはなりません。術後の痛みや、急性の膀胱炎程度は覚悟しなければなりません。
全ての治療法の治療成績は同等です。
根治的前立腺摘除術(RP)を考えるなら、ダビンチを用いた手術を選択すべきです。機能回復などの予後に大きな差が出ています。

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乳癌術後の加速乳房照射(APBI)

乳癌術後の加速乳房照射(APBI)は、現在5週間以上かかっている治療期間をわずか5日間に短縮することができ、治療に伴う負担が大きく軽減されると期待されていますが、論文等の結果を考えるとまだ時期尚早の様です。加速乳房照射(APBI)の1つであるSAVIを用いた乳房小線源治療などは期待していただけに残念です。
SAVI2
SAVI1

67歳以上の女性乳癌患者に対する術後の小線源治療は、全乳房照射と比較して、乳房温存率が低く合併症も多い。

Association between treatment with brachytherapy vs whole-breast irradiation and subsequent mastectomy, complications, and survival among older women with invasive breast cancer.

Smith GL, Xu Y, Buchholz TA, et al.
JAMA 2012; 307: 1827-1837

背景と目的

 近年、乳房温存術後の放射線治療として小線源治療の頻度が増加している。しかしながら、その有効性を標準治療である全乳房照射と比較したエビデンスの高いデータに乏しく、長期のランダム化比較試験のデータについては、今後しばらく発表される見込みは無い。そこで、両放射線治療法について比較検討を行う必要があると考えた。
研究デザイン

 アメリカのメディケア受給者中、2003年から2007年の間に乳癌と診断された67歳以上の女性患者92735人(中央値74.8歳)に対する後ろ向きコホート研究を行った。主な調査項目は、放射線治療後の乳房切除実施率(乳房温存療法の失敗を示唆する指標)、生存率、手術や放射線治療に関連する合併症とした。
結果

 治療後5年の乳房切除実施率は、小線源群3.95%、全乳房照射群2.18%と多変量解析で有意差を持って小線源群が不良であった。腋窩リンパ節転移の有無で解析した結果も、陽性群で8.25% vs 2.53%、陰性群で3.87% vs 2.09%と小線源群で不良であった。

 放射線治療に関連する合併症については、脂肪壊死(8.26% vs 4.05%),乳房痛(14.55% vs 11.92%)と有意差を持って小線源群で高く、放射線肺臓炎については0.12% vs 0.72%と全乳房照射群で高く、肋骨骨折については4.53% vs 3.62%と有意差は認められなかった。

 感染性及び非感染性合併症の頻度は、術後1か月目から18か月目までを通して、小線源群で有意に高かった。5年全生存率は、小線源治療群87.66%、全乳房照射群87.04%と有意差は認められなかった。
結論

 今回の調査では、乳房温存術後の小線源治療は、全乳房照射より治療後乳房切除のリスクが約2倍高く、手術および放射線治療に関連する合併症の頻度も高い傾向にあった。

コメント

 メディケア(65歳になると加入するアメリカの公的医療制度)の全データベースから抽出した大規模患者集団を対象にし、乳癌術後の放射線治療として標準的な全乳房照射と、最近増加している小線源治療の治療成績や合併症等を比較した論文です。ランダム化比較試験ではなく、追跡期間が短い(平均値3.03年)などの問題点はありますが、最新のデータとして参考になると考え紹介させていただきました。

乳房温存術後の小線源治療は、アメリカにおいて年々増加傾向にあり2007年には12.52%となり更に増加傾向のようです。しかし、本研究結果からは、どの施設でもほぼ同じ方法で行われ、施設間の差異が少ない標準的な全乳房照射と比較すると、手技が確立しておらず、術者の熟練度が治療成績や合併症の頻度に影響する小線源治療の問題点が明らかになっています。RTOG/NSABPによるランダム化比較試験の結果が出るまでは、乳房温存術後の小線源治療は引き続き臨床試験として施行されるべきであると筆者は述べています。

 最後に、日本の現状について記載します。乳癌診療ガイドライン2011によると、乳癌術後の加速乳房照射(APBI)は、エビデンスがまだ十分ではなく基本的には勧められない。実践する際は臨床試験の枠組みで実施されるべきである(推奨グレードC2)と記載されています。本年5月に行われた第14回小線源治療部会では、組織内照射によるAPBIの多施設共同臨床試験で、手技の再現性を検討した発表がありました。結果は46例中43例で手技に再現性ありという結果でした。緻密な作業が得意な日本人で、本治療法に興味を持ち臨床試験に参加された施設のデータなので当然の結果と思います。

 乳癌の術後照射が益々増加している現状では、たとえ治療期間が一週間に短縮されたとしても、手技にかかる時間や手技に習熟するまでの症例数を考えると、組織内照射によるAPBIは限られた施設のみで行われる治療法になる可能性が高いように感じます。
(北海道がんセンター 沖本智昭)

トモセラピーの治療時間

1日の照射スケジュール現在、22時まで治療を行っています。治療医、放射線技師、看護師等のスタッフが揃っているので安心して、治療を受けることが出来ます。毎週月曜、火曜日は夜間の患者さんの診察を行っています。参考までに1日の照射スケジュールを添付します。着替えなどの準備も含めて、1名20分の予約枠で治療を行っています。実際の照射時間は3分から10分前後まで照射部位によって異なります。

リスク別の前立腺がん治療の一考 超低リスク

NCCN(National Comprehensive Cancer Network)の2014年のガイドラインでは、臨床的限局性:超低リスクを
 T1c
 グリソンスコア≦6
 PSA<10ng/mL
 前立腺生検の陽性コア数が 3 未満で、各コアでの癌の占拠率が 50%以下
 PSA density<0.15ng/mL/g
と定義しており、臨床的に治療の適応がある場合、
外部放射線治療または密封小線源治療
根治的前立腺摘除術(RP)±骨盤リンパ節郭清術(PLND)(リンパ節転移の予想確率が 2%以上の場合)
としています。
選択肢として、放射線を用いた治療なら強度変調放射線治療(IMRT)または密封小線源治療のどちらかになると思います。
直腸や神経等の副作用を考えると密封小線源治療がより安心でしょう。
根治的前立腺摘除術を考えるなら、ダビンチを用いた手術を選択すべきです。機能回復などの予後に大きな差が出ています。
(当院でも順調に症例を重ねており、良好な成績をあげています。)

ダヴィンチとは最先端の手術支援ロボットです。
1990年代に米国で開発され、1999年よりIntuitive Surgical社から臨床用機器として販売されています。1~2cmの小さな創より内視鏡カメラとロボットアームを挿入し、高度な内視鏡手術を可能にします。術者は3Dモニター画面を見ながらあたかも術野に手を入れているようにロボットアームを操作して手術を行います。
20151116 1

検索するとはこういうことだ/インテルCEOと前立腺がんの1800日

無題
TAKING ON PROSTATE CANCER
FORTUNE
Monday, May 13, 1996
By Andy Grove

人生にリハーサルはない。
 
 十分な準備が整うことは、実は少ない。
 自ら選んだ問題についてなら、長い時間をかけて〈専門家〉の域に達することもできよう。
 だが、問題と呼ぶべきものは、不意をうってやって来る。
 向こうからやって来るほとんど問題に対して、誰もが〈素人〉として向かい合うしかない。
 
 例えば、すべての人が病気になるが、ほとんどの人は医者ではない。

 米インテル(INTC)社のCEOだったアンディ・グローブ氏は1994年秋、家庭医がかわった際に健康診断を受けた。
 検査項目の一つであった血清前立腺特異抗原(PSA)値が高かったので、泌尿器科の受診を勧められた。
 PSA値について調べてみると、前立腺がんの有無や大きさを示す腫瘍マーカーであり、この検査をすることで前立腺がんの
 早期治療が可能になったらしいことがわかった。

 前立腺は、精液をつくる器官で男性のみにある。クルミほどの大きさで、膀胱の真下にあり、尿道を取り囲むかたちで存在する。
 前立腺がんは、米国においては50歳以上の男性における最も一般的な非皮膚癌であり、米国では約230,100例の新規症例と約29,900例
 の死亡(2004年)が毎年発生する。(『メルクマニュアル18版』)。
 
 自分ががんかもしれないと知り、グローブ氏は衝撃を受けた。
 グローブ氏は化学工学の学位を持ち、世界トップの半導体メーカーに創立期から関わり、1979年に社長、1987年からは社長兼CEOをつとめていた。
 DRAM事業から撤退しCPUの開発・生産に経営資源を集中した1985年以降、目まぐるしく変わる情報産業で難しい舵を取り続けていた。
 そして医学の専門知識については皆無の、普通の患者でもあった。
 インテル社は、1993年にはPentiumプロセッサを発表。翌1994年11月にPentiumにバグが発見され、12月末には回収するという事態に陥る。
 グローブ氏の前立腺がんとの戦いは、ちょうど同じ頃始まった。

 グローブ氏の伝記を書いたリチャード・S.テドローは、この前立腺がんのエピソードが「グローブの問題との取り組み方を知る貴重な手がかり」になるという。
 事実、グローブ氏は、技術やビジネスの問題を解決するいつものやり方で、自分の病気に向かいあった。
 つまり、情報を集め事実を知るために、あらゆる手段を尽くしたのだ。

 グローブ氏にはまず、当時最大のパソコン通信サービスであったコンピュサーブ(CompuServe)にアクセスして、「前立腺ガン」(Prostate Cancer)を検索した。
 そして分野ごとに設けられたフォーラムと呼ばれる電子会議室の中に〈前立腺がんフォーラム〉を見つけた。
 〈前立腺がんフォーラム〉には、摘出手術や放射線治療、凍結治療などの様々な治療法が紹介され、尿失禁や性的不能などの副作用を伴うことが書かれていた。
 また患者や家族が情報交換や体験談を書き付ける〈会議室〉では、前立腺がんのせいで健康も仕事も家族もすべてを失った元パイロットの手記があり
 、気を滅入らせた。他にも、前立腺がんについて書かれた本や論文が紹介してあった。グローブ氏は、その中で患者と医者が共同で書いた本を購入することにした。

 こうした一通りの探しものに平行して、グローブ氏は次の行動をとった。
 自分が受けたテスト(PSA検査)自体をテストすべく、再度PSA検査を受け、自分の血液サンプルを別会社の検査キットで検査するよう別々の検査機関に送った。
 これは〈事実を呼ばれているもの〉についても確かめずにはおれない、グローブ氏のいつものやり方でもあった。
 複数の検査機関からの結果は一致していた。
 泌尿器科も前立腺がんとの診断を下し、4つの選択肢:摘出手術、放射線治療、凍結治療、経過観察を示した。
 骨と内蔵への転移を調べるため、骨スキャンとMRIを行い、どちらの転移も発見されなかった。

 がんの告知を受けた後も、グローブ氏は休まず探しつづけた。
 最初に購入した本を読み、そこで引用文献としてあげられていた論文を集めた。
 最初はチンプンカンプンだったが前に進んだ。
 学生時代、半導体デバイスの研究をしていた頃も同じだった。
 同じ分野の論文を読み続けていくうちに、次第に見えるようになっていくのだ。
 それと同時に、すべての論文から治療データを拾い出して、自分でグラフにプロットしていった。
 昼間はインテルの激務があったが、これはがんのことを忘れていられるので救いとなった。
 眠りにつく時が、一番つらかった。

 グローブ氏が前立腺がんであり、そして自分のがんについて猛烈に調べていることは、すぐに周囲に伝わった。
 妻は、近くのスタンフォード大学の図書館に何度も足を運び、論文のコピーを取ってきてくれた。
 友人の医師は、自分が検索でみつけた論文を論文を送ってくれた。
 前立腺がん治療についての講演の録音を入手し、それも聞いた。

 文献が集まり、自分の理解が進んで行くと、前立腺がんを巡る状況について次第に次のようなことが明らかになっていった。
 この分野では近年活発に研究が行われ、新発見や新しい治療法が続々と登場していること。
 それらの研究の中には相互に矛盾するものも少なくなく、専門家の間でも議論が分かれている部分が相当にあること。
 そして外科医は外科手術、放射線医は放射線治療だけに詳しい。医師は自分の専門領域の治療法だけしかあまり知らないのではないか、
 ということにグローブ氏は気付き始めた。

 前立腺がん治療が、今ホットな領域であることは、多くの新知見が登場し、治療技術の進歩が著しいと見ることもできる。
 しかしこうした時期には、新しい治療法の確立のために、「新治療法には確かに効果がある」ことを示すデータや研究を出すことに急で、
 様々な治療法を同じ条件で比較する研究はそれより遅れて登場する。
 複数の治療法の選択を行わなければならないグローブ氏にとって必要なのは前者の新治療法についての研究ではなく、後者の治療法同士を比較する研究である
 ことは明らかだった。

 グローブ氏は論文から治療成績のデータを拾い上げ整理し突き合せた。
 若く腫瘍の小さい患者は摘出手術を受けることが多く、高齢でがんが進行した患者は放射線治療を受けることが多いため、そのまま比較すれば摘出手術の方
 が結果がよいという結論になる。
 公平な比較には、条件を揃える必要があった。
 グローブ氏は、がんの重症度の指標としてPSA値を使い、治療法の成果として治療5年後の再発率を用いて、複数の治療法を比較できるよう、
 拾い上げたデータをプロットしていった。

 専門家や患者にも会って話を聞き、新しい情報が得られなくなった。
 グローブ氏はすべてのデータを、あのプロットにまとめ直した。そして、
 ”I decided to bet on my own charts”.(自分のグラフに賭けることに決めた)。

 グローブ氏は自分で探した専門家のところへ行き、シアトルで自分が決めた治療法を受けた。
 3日後には職場復帰した。

コメント
彼は最終的に、シード線源永久挿入による前立腺癌密封小線源療法を選択しましたが、約20年前の事なので現在の技術進歩から考えるとそのまま適応できないように感じます。
手術の精密さの極みともいえるダビンチを用いた全摘手術、トモセラピーを用いた正常組織に極限まで損傷を与えない放射線治療法などが候補に加わる事でしょう。
しかし、現在でも小線源療法はシンプルな治療法なので低リスク症例に関しては的確なる手技にて治療を行えば機能温存に最も優れた治療法だと云えます。
どの治療法を選ぶのであれ、自分の状態(進行度など)を考え、可能な限り情報を集めて決定すべきでしょう。

TomoTherapyの線量分布の進化。

無題3当院に設置されている装置は1号機が設置されたのが約10年前、その3年後に2号機、更に2年後に3号機が導入されています。
当然、装置は進化しているので古い装置は陳旧化してしまいます。患者さんの気持ちとしては、新しい装置で治療してほしいと思うのは当然です。しかし、ご安心ください。3号機が導入されるのと同時に3台とも同じスペックになるように数億円を投資してバージョンアップしてあります。ですから、すべての装置が最新のスペックを持っています。直腸や膀胱などの守りたい臓器は、一般的な基準値よりも遥かに低線量に抑えられています。(丸の部分)分布ではTomotherapyの強みであるCシェイプで直腸の線量を極限まで低減しています。(矢印部分)