前立腺がんプラザ/トモセラピー

  

トモセラピー体験者へのアンケート(数十名分)、トモセラピーとは、トモセラピーの費用、効果。最新の前立腺癌治療を図解で解説。

前立腺がんプラザ|トモセラピー
前立腺がんプラザ|トモセラピーhome前立腺がんとは前立腺がんの治療法放射線治療機トモセラピーロボット手術ダヴィンチトモセラピーに関するアンケート前立腺がんの闘病記江戸川病院スタッフブログトモセラピーの治療を受けた方の患者会医療関係者の方向けサイトマップ

放射線治療室

リスク別の前立腺がん治療の一考 超高リスク

NCCN(National Comprehensive Cancer Network)の2014年のガイドラインでは、臨床的:超高リスク
 臨床病期 T3b~T4(局所進行癌)の患者

をリスクが非常に高い患者群と定義しています。
この群に対する選択肢としては、1)強度変調放射線治療(IMRT)または放射線治療(EBRT)+密封小線源治療と 2~3 年間の アンドロゲン遮断療法(ADT)の併用、2)隣接臓器への固定がみられない選択された症例における根治的前立腺摘除術(RP)+骨盤リンパ節郭清術(PLND)、3)根治的治療に不適格とされた場合のアンドロゲン遮断療法(ADT)が挙げられます。
受診時の病期がリンパ節転移( N1) の患者では、アンドロゲン遮断療法(ADT) 単独もしくは原発腫瘍の強度変調放射線治療(IMRT)または放射線治療(EBRT)+密封小線源治療と 2~3 年間の アンドロゲン遮断療法(ADT)の併用が選択肢となり、遠隔転移(M1) 症例にはアンドロゲン遮断療法(ADT)が推奨されます。
また、再発をみる場合、最初の 2 年間で 45%、最初の 5 年間で 77%、そして 10 年間で 96%が再発していたことが Pound らによって報告されています。

05

リスク別の前立腺がん治療の一考 高リスク

NCCN(National Comprehensive Cancer Network)の2014年のガイドラインでは、臨床的限局性:高リスクを

 T3a
 グリソンスコア8〜10
または
 PSA≻20ng/mL

と定義しており、有害因子が複数認められる患者は超高リスク群とする場合もあります。望ましい治療法として、強度変調放射線治療(IMRT)または放射線治療(EBRT)+密封小線源治療と 2~3 年間の アンドロゲン遮断療法(ADT)の併用であり、アンドロゲン遮断療法(ADT) 単独では不十分です。特に体積が小さい高悪性度腫瘍の場合には、積極的な局所への放射線照射(RT)と通常は 2〜3 年間の アンドロゲン遮断療法(ADT) との併用が妥当となります。特に放射線治療(RT)は技術の進歩により、この数年間で、より多くの線量を安全に照射することが可能になっています。TomoTherapyなどの強度変調放射線治療(IMRT)は、治療実施時の体内構造物の位置を捉えた CT 画像をコンピュータソフトウェアを用いて統合することにより、ミリ単位の精度で照射が可能であり、晩期障害のリスクを低く抑えつつ累積線量を高めることを可能にしています。
放射線治療(RT) の禁忌としては、骨盤照射の既往、直腸の活動期の炎症性疾患、フォーリーカテーテルの永久留置などがあります。相対的禁忌としては、膀胱容量が非常に小さい、中等度または重度の慢性下痢、恥骨上カテーテル法を必要とする下部尿路閉塞、非活動期の潰瘍性大腸炎などがあります。
放射線治療(EBRT)と密封小線源治療の併用治療(場合により通常 2〜3 年間の ADT も追加する)もまた、初回治療における選択肢の 1 つになります。しかしながら、この状況における ADT の至適投与期間は依然としてはっきりしていません。
高リスク群の一部の患者では手術が有益となる可能性があるため、PLND を併用した根治的前立腺摘除術も依然として選択肢の 1 つとなります。

tomoi

高リスク前立腺癌に対する根治的前立腺全摘後の術後照射: 無作為割付比較試験(EORTC trial 22911)の長期成績

この結果から考えられるのは、手術で癌細胞を完全に取り切るのは難しいという事実。高リスク前立腺癌では放射線治療を第一選択と考えるのが妥当だと思われます。

高リスク前立腺癌に対する根治的前立腺全摘後の術後照射
無作為割付比較試験(EORTC trial 22911)の長期成績
Postoperative radiotherapy after radical prostatectomy for high-risk prostate cancer: long-term results of a randomized controlled trial (EORTC trial 22911)

Bolla M, van Poppel H, Tombal B, et al.

Lancet. 2012, Epub

背景
既報の無増悪生存の改善が維持されているかを確認する。

方法
断端陽性あるいはpT3を術後照射群(腫瘍床へ60Gy/6週)と経過観察群に割り付け生化学的無増悪生存を検討した。

結果
術後照射群502例,経過観察群503例,中央観察期間10.6年であった。術後照射は有意に生化学的無増悪生存を改善した(再発・死亡は術後照射群39.4%,経過観察群61.8%)。全晩期有害事象は術後照射群で有意に多かった(70.8% vs 59.7%)。

結論
術後照射が生化学的無増悪生存と局所制御を有意に改善した。一方で臨床的無増悪生存の改善はなかった。

コメント
既報(Lancet 2005; 366: 572-78)では良好とされた臨床的無増悪生存は、その後の遠隔転移・非癌死により有意差がなくなった。前立腺癌の治療効果判定の難しさを感じる。ただし、同様の臨床試験(SWOG; J Urol 2009; 181: 956-62,ARO; J Clin Oncol 2009; 27: 2924-30)の結果を含めて「術後照射は生化学的無増悪生存を改善する」とは言えそうである(SWOGのみ全生存も改善)。
(埼玉医科大学国際医療センター 阿部孝憲/江原 威)

前立腺がん治療時の体位

cancer_tiryou_edo_zu1当院では、CTによる位置確認が可能であることを踏まえ、患者さんの足を軽く固定し、両手でリングをもってもらい、背臥位で治療を行っています。うつ伏せや強制的な固定は避け、体の制限が少なく、楽な体位で行っています。動きによるずれは、他の方法と比べても遜色なく、安心して治療を受けて頂くことが出来ます。

背臥位と腹臥位での前立腺のintrafractionの動きに関する前向き研究
prospective study of intrafraction prostate motion in the prone vs. supine position Wilder RB, Chittenden L, Mesa AV, et al.
A prospective study of intrafraction prostate motion in the prone vs. supine position Wilder RB, Chittenden L, Mesa AV, et al.
Int J Radiat Oncol Biol Phys 77(1): 165-70, 2010.

はじめに
 オンラインでの画像誘導下放射線治療が行われるようになり、interfractionの標的のずれを正確に把握できPTVマージンを小さくした治療が可能となってきた。その一方で、ターゲットのintrafractionの動きを把握することがより重要となっている。
方法
15例の前立腺癌の患者を対象とし、高線量率の組織内照射(22Gy/4回)後IMRT(50.4Gy/28回)を施行した。
背臥位および腹臥位で固定具を作成し、バリアン社製On-Board Imagerで前立腺に刺入されたシードの位置を正面側面の撮影で、IMRT開始の最初の5日間連続して前立腺の位置を測定した。実際のIMRTの照射を腹臥位で行い、治療開始前と後に前立腺の位置を測定し、照射後すぐに、背臥位にして直後と11分後の二回測定した。

結果

 intrafractionの前立腺の動き(平均±標準偏差)は、腹臥位および背臥位で、前後方向2.1±1.2mm、1.7mm±1.4mm(p=0.47)、頭尾方向2.2mm±2.0mm、1.6mm±1.8mm(p=0.16)、左右方向1.0mm±1.2mm、0.6±0.9mm(p=0.03)であった。
腹臥位では前方方向へ、背臥位では背側方向へ前立腺がずれる傾向にあった。患者の多く(80%)がアンケート調査で腹臥位より背臥位の方が楽な姿勢であると答えていた。

結論
腹臥位でも背臥位でも頭尾方向、前後方向に平均で約2mmの前立腺のintrafractionの動きがあるが、両者に差は見られなかった。

コメント
個人的にはこの領域の論文は苦手分野ですが、自分の臨床を三次元照射からIMRTやIGRTへと進めて行くには避けては通れないと思い少しずつチャレンジしています。intrafractionの前立腺の動きを治療前と後の二回測定するだけでよいのか気になりましたが、考察でもそのことが取り上げられており、呼吸性移動やリアルタイムでの動きを追跡した報告(Calypsoを用いた報告)などを考えるともう少し大きなintrafractionの動きが実際にはあるように思われます。
あと一つ、「なるほど」と思えたことは、いくつかのIMRTの報告で患者一人あたりに要する照射時間が短い照射方法が重視されているようですが、より多くの患者を治療するという経済的なことが主な要因と思っていましたが、照射時間を短くすることでintrafractionの動きを少なくすることができる可能性があるとのことでした。すでにご存じの方が多いのでしょうが、お恥ずかしながらはじめて知りました。
(信州大学医学部 鹿間 直人)

リスク別の前立腺がん治療の一考 低リスク

NCCN(National Comprehensive Cancer Network)の2014年のガイドラインでは、臨床的限局性:低リスクを

 T1~T2a
 グリソンスコア≦6
 PSA<10ng/mL

と定義しており、臨床的に治療の適応がある場合、超低リスク群と同様に
外部放射線治療または密封小線源治療
根治的前立腺摘除術(RP)±骨盤リンパ節郭清術(PLND)(リンパ節転移の予想確率が 2%以上の場合)
としています。
選択肢として、手術か放射線のどちらを選ぶかを決めなくてはなりません。手術で骨盤リンパ節郭清術(PLND)も行うとなると、熟考が必要になります。

骨盤リンパ節郭清術の場合、拡大 PLND では、縮小 PLND の場合の約 2 倍の頻度で転移巣が発見されるため、拡大 PLND の方が病期分類がより完全なものとなるほか、顕微鏡的転移が存在する患者の一部では治癒が得られる可能性もあり、したがって、PLND を施行する場合は拡大郭清が望ましいとされています。
拡大 PLND では、前方を外腸骨静脈、側方を骨盤側壁、内側を膀胱壁、後方を骨盤底、遠位側をクーパー靱帯、近位側を内腸骨動脈に囲まれた領域内にあるすべてのリンパ節を周囲の組織を含めて郭清する必要があるため術後のダメージを覚悟しなければなりません。
放射線を用いた治療なら強度変調放射線治療(IMRT)または放射線治療(EBRT)+密封小線源治療のどちらかになると思います。強度変調放射線治療(IMRT)単独の場合、線量は76Gyは必要になるので(2Gy×38回)約3ヶ月、週5回、治療を続けなくてはなりません。強度変調放射線治療(IMRT)での治療では、急性の膀胱炎程度は覚悟しなければなりませんが、重篤な副作用(尿漏れや勃起不全など)は極めて稀になっています。放射線治療(EBRT)+密封小線源治療の場合、線源埋め込み手術に3日間程度の入院と、放射線治療(EBRT)線量は40-50Gy(2Gy×20-25回)必要になるので2ヶ月弱、週5回、治療を続けなくてはなりません。術後の痛みや、急性の膀胱炎程度は覚悟しなければなりません。
全ての治療法の治療成績は同等です。
根治的前立腺摘除術(RP)を考えるなら、ダビンチを用いた手術を選択すべきです。機能回復などの予後に大きな差が出ています。
根治的前立腺摘除術(RP)での出血はかなりの量となりますが、陰茎背静脈(dorsal vein complex)と前立腺周囲の血管を注意深くコントロールすることで減少させることが可能です。
尿失禁については、前立腺尖部より遠位の尿道を長く温存するとともに遠位括約筋機構への損傷を回避することによって減少させることが可能です。
膀胱頸部の温存によっても失禁リスクが減少する可能性があり、吻合部狭窄は長期にわたる失禁のリスクを高めます。
勃起機能の回復には、RP 施行時の年齢、術前の勃起機能および陰茎海綿体神経の温存の程度が直接関係します。切除された神経を神経移植片で置換する試みについては、有益性は示されていません。勃起機能の回復を狙った早期の治療介入は、その後の回復の改善につながる可能性があります。
tochigi

水素水の効用

放射線の副作用軽減薬アミフォスチンと水素の効果を比較した論文です。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22367121 H2
Biochemical Journalという歴史も古く権威のある学術誌に論文が掲載されました。
放射線の害は、放射線が水と反応して、活性酸素が生じことも一因です。抗酸化物質で放射線の害を低減することができるはずですが、どの抗酸化物質でも効果がでるというわけではありません。たったひとつだけ、放射線の副作用を軽減する抗酸化剤が米国では薬として承認されています。アミフォスチンという薬です。この薬は放射線の副作用を取り除いてくれるのですが、残念ながらアミフォスチンによる副作用が強いので、口内炎がひどいときにだけに限定されて使用されています。そこで、放射線の副作用を軽減し、副作用が少ない放射線防護薬が待ち望まれていますが、水素(H2)に可能性があることが示されました。
この論文では、細胞レベルで水素がアミフォスチンと遜色ない効果を示したようです。アミフォスチンと遜色ない効果があるということは、水素にも放射線防護の効果がある可能性はあります。人体レベルでどの程度効果があるのかはハッキリしていませんが、水素自体には副作用がないので試してみる価値はありそうです。
実際、私も水素水を飲んでみましたが通常の水と変わりませんでした。水を入れたペットボトルに専用キッドを取り付け5秒程注入して出来上がりです。
当院治療室でも取り扱っていますので、ご興味のある方は試してみて下さい。

リスク別の前立腺がん治療の一考 中リスク 

NCCN(National Comprehensive Cancer Network)の2014年のガイドラインでは、臨床的限局性:中リスクを

 T2b~T2c
 グリソンスコア6
または
 PSA10〜20ng/mL

と定義しており、患者期待余命が 10 年未満の患者に対する選択肢としては、1)経過観察、2)放射線治療(RT)±アンドロゲン遮断療法(ADT、4〜6ヶ月)±密封小線源治療、3)密封小線源治療単独が挙げられます。
期待余命が 10 年以上の患者に対する初回治療の選択肢としては、1)根治的前立腺摘除術(RP)+骨盤リンパ節郭清術(PLND)リンパ節転移の確率が 2%以上と予測される場合のみ、2)放射線治療(RT)±アンドロゲン遮断療法(ADT、4〜6ヶ月)±密封小線源治療、3)予後良好因子(cT1c、グリソンスコア7、体積が小さい)を有する患者に対する密封小線源単独が挙げられます。
期待余命が10年を超える患者には、active surveillanceは推奨されていません。

中リスクでのアンドロゲン遮断療法(ADT)と根治的前立腺摘除術(RP)または放射線療法(RT)の併用は必須になります。アンドロゲン遮断療法(ADT)とは、
ホルモン療法の事で前立腺がんの多くは男性ホルモンの影響を受けて増殖するため、男性ホルモンの生産を抑えるアンドロゲン遮断療法(ADT)を治療後4〜6ヶ月行う事で再発の確率を有意に下げることができます。
ここでも、選択肢として、手術か放射線のどちらを選ぶかを決めなくてはなりません。手術で骨盤リンパ節郭清術(PLND)も行うとなると、熟考が必要になります。

骨盤リンパ節郭清術の場合、拡大 PLND では、縮小 PLND の場合の約 2 倍の頻度で転移巣が発見されるため、拡大 PLND の方が病期分類がより完全なものとなるほか、顕微鏡的転移が存在する患者の一部では治癒が得られる可能性もあり、したがって、PLND を施行する場合は拡大郭清が望ましいとされています。
拡大 PLND では、前方を外腸骨静脈、側方を骨盤側壁、内側を膀胱壁、後方を骨盤底、遠位側をクーパー靱帯、近位側を内腸骨動脈に囲まれた領域内にあるすべてのリンパ節を周囲の組織を含めて郭清する必要があるため術後のダメージを覚悟しなければなりません。
放射線を用いた治療なら強度変調放射線治療(IMRT)または放射線治療(EBRT)+密封小線源治療のどちらかになると思います。強度変調放射線治療(IMRT)単独の場合、線量は76Gyは必要になるので(2Gy×38回)約3ヶ月、週5回、治療を続けなくてはなりません。強度変調放射線治療(IMRT)での治療では、急性の膀胱炎程度は覚悟しなければなりませんが、重篤な副作用(尿漏れや勃起不全など)は極めて稀になっています。放射線治療(EBRT)+密封小線源治療の場合、線源埋め込み手術に3日間程度の入院と、放射線治療(EBRT)線量は40-50Gy(2Gy×20-25回)必要になるので2ヶ月弱、週5回、治療を続けなくてはなりません。術後の痛みや、急性の膀胱炎程度は覚悟しなければなりません。
全ての治療法の治療成績は同等です。
根治的前立腺摘除術(RP)を考えるなら、ダビンチを用いた手術を選択すべきです。機能回復などの予後に大きな差が出ています。

img_part10

乳癌術後の加速乳房照射(APBI)

乳癌術後の加速乳房照射(APBI)は、現在5週間以上かかっている治療期間をわずか5日間に短縮することができ、治療に伴う負担が大きく軽減されると期待されていますが、論文等の結果を考えるとまだ時期尚早の様です。加速乳房照射(APBI)の1つであるSAVIを用いた乳房小線源治療などは期待していただけに残念です。
SAVI2
SAVI1

67歳以上の女性乳癌患者に対する術後の小線源治療は、全乳房照射と比較して、乳房温存率が低く合併症も多い。

Association between treatment with brachytherapy vs whole-breast irradiation and subsequent mastectomy, complications, and survival among older women with invasive breast cancer.

Smith GL, Xu Y, Buchholz TA, et al.
JAMA 2012; 307: 1827-1837

背景と目的

 近年、乳房温存術後の放射線治療として小線源治療の頻度が増加している。しかしながら、その有効性を標準治療である全乳房照射と比較したエビデンスの高いデータに乏しく、長期のランダム化比較試験のデータについては、今後しばらく発表される見込みは無い。そこで、両放射線治療法について比較検討を行う必要があると考えた。
研究デザイン

 アメリカのメディケア受給者中、2003年から2007年の間に乳癌と診断された67歳以上の女性患者92735人(中央値74.8歳)に対する後ろ向きコホート研究を行った。主な調査項目は、放射線治療後の乳房切除実施率(乳房温存療法の失敗を示唆する指標)、生存率、手術や放射線治療に関連する合併症とした。
結果

 治療後5年の乳房切除実施率は、小線源群3.95%、全乳房照射群2.18%と多変量解析で有意差を持って小線源群が不良であった。腋窩リンパ節転移の有無で解析した結果も、陽性群で8.25% vs 2.53%、陰性群で3.87% vs 2.09%と小線源群で不良であった。

 放射線治療に関連する合併症については、脂肪壊死(8.26% vs 4.05%),乳房痛(14.55% vs 11.92%)と有意差を持って小線源群で高く、放射線肺臓炎については0.12% vs 0.72%と全乳房照射群で高く、肋骨骨折については4.53% vs 3.62%と有意差は認められなかった。

 感染性及び非感染性合併症の頻度は、術後1か月目から18か月目までを通して、小線源群で有意に高かった。5年全生存率は、小線源治療群87.66%、全乳房照射群87.04%と有意差は認められなかった。
結論

 今回の調査では、乳房温存術後の小線源治療は、全乳房照射より治療後乳房切除のリスクが約2倍高く、手術および放射線治療に関連する合併症の頻度も高い傾向にあった。

コメント

 メディケア(65歳になると加入するアメリカの公的医療制度)の全データベースから抽出した大規模患者集団を対象にし、乳癌術後の放射線治療として標準的な全乳房照射と、最近増加している小線源治療の治療成績や合併症等を比較した論文です。ランダム化比較試験ではなく、追跡期間が短い(平均値3.03年)などの問題点はありますが、最新のデータとして参考になると考え紹介させていただきました。

乳房温存術後の小線源治療は、アメリカにおいて年々増加傾向にあり2007年には12.52%となり更に増加傾向のようです。しかし、本研究結果からは、どの施設でもほぼ同じ方法で行われ、施設間の差異が少ない標準的な全乳房照射と比較すると、手技が確立しておらず、術者の熟練度が治療成績や合併症の頻度に影響する小線源治療の問題点が明らかになっています。RTOG/NSABPによるランダム化比較試験の結果が出るまでは、乳房温存術後の小線源治療は引き続き臨床試験として施行されるべきであると筆者は述べています。

 最後に、日本の現状について記載します。乳癌診療ガイドライン2011によると、乳癌術後の加速乳房照射(APBI)は、エビデンスがまだ十分ではなく基本的には勧められない。実践する際は臨床試験の枠組みで実施されるべきである(推奨グレードC2)と記載されています。本年5月に行われた第14回小線源治療部会では、組織内照射によるAPBIの多施設共同臨床試験で、手技の再現性を検討した発表がありました。結果は46例中43例で手技に再現性ありという結果でした。緻密な作業が得意な日本人で、本治療法に興味を持ち臨床試験に参加された施設のデータなので当然の結果と思います。

 乳癌の術後照射が益々増加している現状では、たとえ治療期間が一週間に短縮されたとしても、手技にかかる時間や手技に習熟するまでの症例数を考えると、組織内照射によるAPBIは限られた施設のみで行われる治療法になる可能性が高いように感じます。
(北海道がんセンター 沖本智昭)

トモセラピーの治療時間

1日の照射スケジュール現在、22時まで治療を行っています。治療医、放射線技師、看護師等のスタッフが揃っているので安心して、治療を受けることが出来ます。毎週月曜、火曜日は夜間の患者さんの診察を行っています。参考までに1日の照射スケジュールを添付します。着替えなどの準備も含めて、1名20分の予約枠で治療を行っています。実際の照射時間は3分から10分前後まで照射部位によって異なります。

リスク別の前立腺がん治療の一考 超低リスク

NCCN(National Comprehensive Cancer Network)の2014年のガイドラインでは、臨床的限局性:超低リスクを
 T1c
 グリソンスコア≦6
 PSA<10ng/mL
 前立腺生検の陽性コア数が 3 未満で、各コアでの癌の占拠率が 50%以下
 PSA density<0.15ng/mL/g
と定義しており、臨床的に治療の適応がある場合、
外部放射線治療または密封小線源治療
根治的前立腺摘除術(RP)±骨盤リンパ節郭清術(PLND)(リンパ節転移の予想確率が 2%以上の場合)
としています。
選択肢として、放射線を用いた治療なら強度変調放射線治療(IMRT)または密封小線源治療のどちらかになると思います。
直腸や神経等の副作用を考えると密封小線源治療がより安心でしょう。
根治的前立腺摘除術を考えるなら、ダビンチを用いた手術を選択すべきです。機能回復などの予後に大きな差が出ています。
(当院でも順調に症例を重ねており、良好な成績をあげています。)

ダヴィンチとは最先端の手術支援ロボットです。
1990年代に米国で開発され、1999年よりIntuitive Surgical社から臨床用機器として販売されています。1~2cmの小さな創より内視鏡カメラとロボットアームを挿入し、高度な内視鏡手術を可能にします。術者は3Dモニター画面を見ながらあたかも術野に手を入れているようにロボットアームを操作して手術を行います。
20151116 1