前立腺がんプラザ/トモセラピー

  

前立腺がんとは、前立腺がんの症状、前立腺がんPSA検査・PSA数値の見方、病期分類・ステージ。前立せん癌を詳しく解説。

前立腺がんプラザ|トモセラピー
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『TOMOの会(患者会)』が実施した
「トモセラピー治療」に関するアンケート結果を公開しました。
「治療後のPSA推移、副作用、QOL、余病、再発・転移」

『TOMOの会(患者会)』が2013年10月実施
母数103人
【アンケート項目】

Q1:トモセラピー治療後の経過年数について
Q2:トモセラピー治療後のPSAの推移状況について
Q3:トモセラピー治療後の現在の副作用の有無(重複回答)
Q3-A:「排尿関連」
Q3-B:「排便関連」
Q3-C:「下血関連」
Q3-D:「男性機能」
Q3-E:「その他」
Q4:全体的なQOLの変化について
Q5:前立せん癌や放射線治療に関すると思われる余病がありますか?
Q6:前立せん癌の再熱、再発、転移などがありますか?
Q7:「TOMOの会(患者会)」に関するコメント
<2014年6月18日更新>



前立腺癌とは


 ①前立腺癌の罹患数・罹患率(2005年)
 42,997人・69.0/人口100,000人

 ②前立腺癌の死亡数・死亡率(2008年)
 9,989人・16.3/人口100,000人

 ③前立腺癌に影響を及ぼす因子
 年齢、人種、家族歴、居住地域など


 前立腺がんの症状
 前立腺がんの多くは、初期にはほとんど症状がありません。
 進行すると排尿困難、夜間多尿、などの症状が出現しますが、前立腺肥大と似た症状のため発見が遅れることもあります。

 前立腺がんのPSA検査
 前立腺がんの早期発見に重要なのは、PSA検査と呼ばれる血液検査です。
 前立腺がんが発生すると、大量のPSA(前立腺特異抗原)が血液中に流れ出ます。
 PSAの数値が正常の値よりも高ければ、癌が疑われれます。
 概ね4.0ng/mlを超えると、前立腺がんの可能性が高くなります。
 また、PSAの数値が極端に高い場合は、癌の転移や局所浸潤がある場合が多いといえます。
 この場合は、手術や放射線療法といった局治療に加え、全身に対する治療が必要になる場合もあります。
<年齢別PSA基準値 (前立腺癌PSA数値の見方)>
年齢 

50~64歳

65~69歳

70歳以上

基準値 

3.0ng/ml 以下

3.5ng/ml 以下

3.2ng/ml 以下


 前立腺生検
 細胞や組織の一部を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を診断します。
 これにより前立腺がんの確定診断がなされます。

 前立腺がんの病期
 臨床病期判定は治療方針を決定し、さらに前立腺癌の予後を予測するうえで重要です。
 TNM分類ではT(原発腫瘍)がどのくらいの大きさか、N(所属リンパ節)に転移しているかどうか、M(遠隔転移)が有るかどうかで分類されます。


ロボットによる前立腺癌の摘出手術「ダヴィンチ」のご紹介

最新の前立腺癌ロボット手術「ダヴィンチ」とはアメリカで開発された手術を支援するロボットです。

ロボット手術ダヴィンチの費用・保険適応
 ダヴィンチは、日本では2009年より医療機器として認可を受けました。2012年4月より、前立腺癌に対する手術のみ、保険医療として認められました。

ロボット手術ダヴィンチのメリット
 ダヴィンチが普及した理由は、安全性だけではありません。
 ダヴィンチによる前立腺癌ロボット手術は出血量を極端に抑え、手術後の疼痛を軽減し、機能温存の向上や合併症リスクを大幅に回避できるなど、さまざまなメリットが評価されているからです。

ロボットによる前立腺がん摘出手術「ダヴィンチ」のご紹介は、こちらをクリックしてください。

  


前立腺とは

 前立腺は男性にだけあり、恥骨の裏側で膀胱の下に位置し、その中を尿道が通っています(図1)。形は栗の実に似ており、主な働きは、精液の一部である前立腺液を分泌することです。
  前立腺の内部は、尿道に接した移行域、中央の中心域、外側の辺縁域、そして前側にある前方線維筋性間質という4つの区域に分けられます。大きさは、正常大で上下径2~3cm・左右径約4cm・前後径約1.5cm・重さ約15gです。前立腺は、精巣や副腎からでる男性ホルモンの影響を受けています。




前立腺がんとは -前立腺がんの症状-

 前立腺がんは欧米では男性の罹患(りかん)率第1位の癌であり、日本でも食事など生活様式の欧米化や高齢化に伴い、近年急速に増加しているがんです。年をとることによって多くなるがんであり、罹患率は65歳以上で増加します。
 がんの多くは辺縁域から発生します。そのため、初期にはほとんど症状がありません。
 進行すると排尿困難、頻尿、残尿感、夜間多尿、尿意切迫、下腹部不快感などの症状が出現しますが、前立腺肥大と似た症状のため発見が遅れることもまれではありません。さらに進行すると、骨やリンパ節に転移し、痛みや麻痺の原因になる場合もあります。

①前立腺癌の罹患数・罹患率(2005年)
42,997人・69.0/人口100,000人

②前立腺癌の死亡数・死亡率(2008年)
9,989人・16.3/人口100,000人

③前立腺癌に影響を及ぼす因子
年齢、人種、家族歴、居住地域など





前立腺がんの検査とは -PSA検査・PSA基準値、直腸診、超音波、MRI検査、前立腺生検、グリーソン分類-

1 PSA検査(血液検査)
 前立腺がんの早期診断に重要なのは、PSA検査と呼ばれる血液検査です。
 PSA(prostate specific antigenの略語:日本語では前立腺特異抗原)とは、前立腺に特異的なたんぱく質の一種です。PSAは健康な男性の血液中に存在していますが、前立腺がんが発生すると、大量のPSAが血液中に流れ出します。PSAの数値が正常の値よりも高ければ、癌が疑われることになり、PSAの数値が高くなるにつれて癌の確率も高くなっていきます。概ね4.0ng/mlを超えると、癌の可能性が高くなります。
 また、治療前のPSAの数値が高い程、癌細胞の数が多いと考えられています。PSAの数値が極端に高い場合は、癌の転移や局所浸潤がある場合が多く、たとえ画像診断(MRI,骨シンチ、CTなど)ではっきりとした転移、浸潤が確認されない場合でも、小さな転移(micrometastasis)や浸潤(microinvasion)がある可能性が高くなります。したがって、PSAの数値が極端に高い場合は手術や放射線療法といった局治療に加え、全身に対する治療が必要になる場合もあります。

★ 年齢別PSA基準値 (前立腺癌PSA数値の見方)
年齢 

50~64歳

65~69歳

70歳以上

基準値 

3.0ng/ml 以下

3.5ng/ml 以下

3.2ng/ml 以下



2 直腸診、超音波、MRI検査
 PSA値に異常がある場合に、直腸診、超音波、MRI等の検査を行います。
直腸癌: 医師が指を直腸に挿入し、しこりや異常の有無を、触診にて調べます。
超音波: 直腸に超音波の検出棒を挿入し、超音波検査を行います。この検査で前立腺サイズの計測、前立腺の内部構造を明らかにすることが出来ます。また生検の際にも用いられます。超音波は、再現性や客観性は他の画像検査より劣るという弱点があります。
MRI(図2): 大きな磁石の中にはいり、前立腺およびその周囲の詳細な画像を収集することができます。客観性、再現性に優れており、しかも放射線被曝が全くありません。ペースメーカー留置後など磁石により影響のある方は受けられません。MRIも直腸に検出器(バルーン)を挿入することにより、非常に細かい構造が見えるようになり、診断に有用と考えられています(図3)。前立腺生検(後述)の後に行なわれることもありますが、出血等の影響により診断が難しくなることもあります。


図2 MRI撮影装置
図3 MRI画像 前立腺がん(灰色の部分)

3 前立腺生検
 上記1、2の検査等で異常が認められる場合に行います。細胞や組織の一部を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を診断します。これにより前立腺がんの確定診断がなされます。
 また、一口に前立腺癌といっても、癌細胞の性質は比較的おとなしいものから、非常に活発なものまで様々です。この悪性度の分類も顕微鏡で前立腺がんの細胞の形態をみることによって、判断されます。具体的にはグリーソンスコア(GS)という数値であらわされます。グリーソンスコアが高いほど悪性度が高く、グリーソンスコアが低いほど悪性度が低くおとなしい癌と診断されます。

*グリーソン分類*
 1966年Dr. Donald F Gleasonが前立腺がん症例から考案した前立腺がん分化度分類であり、前立腺がんに見られる組織学的形態を1から5のPattern(grade)に分類したものを基本とし、がん巣内の面積上最も多いものを第1パターン、次に多いものを第2パターンとしてその合計によってグリーソンスコア(GS)を算出します。



前立腺がんの病期診断

前立腺生検により前立腺癌と診断されましたら、癌がどれくらい広がっているかを判断するため、画像診断を行ないます。この病期診断は治療方針を左右するため、出来る限り正確に病期診断を行なう必要があります。



主な検査目的 特徴
MRI 前立腺局所の診断 高い組織分解機能を有する。 広範囲の評価ができない。
CT リンパ節、肺、肝転移の診断 広範囲の評価が可能。MRIより診断能が低い。
骨シンチ 骨転移の診断 全身の骨転移の検索。




前立腺がんの病期、前立腺がんのステージ分類

 臨床病期判定は治療方針を決定し、さらに前立腺癌の予後を予測するうえで重要です。
 まずは病期分類(TNM分類)についての一覧表です。TNM分類ではT(原発腫瘍:tumor)がどのくらいの大きさか、N(所属リンパ節:lymph nodes)に転移しているかどうか、M(遠隔転移:metastasis)が有るかどうかで分類されます。

T(原発腫瘍)
Tx 原発腫瘍の評価が不可能
T0 原発腫瘍を認めない
T1 触知不能、または画像診断不可能な臨床的に明らかでない腫瘍
T1a 組織学的に切除組織の5%以下に偶発的に発見される腫瘍
T1b 組織学的に切除組織の5%を超えた、偶発的に発見される腫瘍
T1c 針生検により確認される腫瘍(たとえば、PSAの上昇による)
T2 前立腺に限局する腫瘍
T2a 方葉の1/2以内の進展
T2b 方葉の1/2をこえ広がるが、両葉には及ばない
T2c 両葉への進展

T3

前立腺皮膜をこえて進展する腫瘍

T3a 皮膜外へ浸潤する腫瘍

T3b 精嚢に浸潤する腫瘍

T2c 両葉への進展

T4

精嚢以外の隣接組織(膀胱頚部、外括約筋、直腸、挙筋、または骨盤壁)に固定、または浸潤する腫瘍



N(所属リンパ節)

所属リンパ節(総腸骨動脈分岐以下の小骨盤リンパ節。対側を含む。)

Nx

原発腫瘍の評価が不可能

N0

所属リンパ節転移なし

N1

所属リンパ節転移あり



M(遠隔転移)

M1a

所属リンパ節以外のリンパ節転移

M1b

骨転移

M1c

リンパ節、骨以外の転移



G(病理組織学的分化度)


グリーソンスコア

Gx 分化度の評価が不可能

G1 高分化

2-4

G2 中分化

5-6

G3-4 低分化-未分化

7-10



上記の分類法を総合して、がんの進行度と広がりを一度に表したものを、ステージ分類と呼びます。

★ステージ分類表

T(原発)

N(リンパ節)

M(転移)

G(病理組織学的分化度)

Ⅰ期

T1a

N0

G1

Ⅱ期

T1a
T1b、T1c
T2

N0
N0
N0

M0
M0
M0

G2、G3-4
Gに関係なく
Gに関係なく

Ⅲ期

T3

N0

M0

Gに関係なく

Ⅳ期

T4
Tに関係なく
Tに関係なく

N0
N1
Nに関係なく

M0
M0
M1

Gに関係なく
Gに関係なく
Gに関係なく

 前立腺癌はⅠ~Ⅳ期に分類されますが、Ⅳ期は転移を有する状態などであり、通常は根治治療の対象とはならず、Ⅰ~Ⅲ期が根治治療の対象となります。
 Ⅲ期では通常手術は適応とならず、放射線治療が第1選択となります。
 Ⅰ・Ⅱ期では「手術と放射線治療の治療成績は同等」というのが世界的に共通の見解です。